マーキング特集

様々なワークの形状や刻印方法に応じた
刻印機の特集記事をご紹介します。

高速マーキング特集

  • 生産ラインの複合化により、速く・確実なマーキングが要求されてきています。
    今回は高速マーキングについてご説明・ご紹介させていただきます。

    高速と言っても、従来の手打ち刻印の高速化と1秒間に何十文字もマーキングする高速化といろいろあります。
    高速度合・作業別に説明させていただきます。

    (1) 手打ち刻印の高速化

    従来の手打ち刻印は、手打ち刻印を手に持ち、ハンマーでたたいて使用します。
    一度のハンマー作業ではなかなかきれいに刻印できない為、何度かたたいて1文字を完成させます。
    ベテランの方でも1文字刻印するのには数分必要でしょう!
    そこでこの作業を高速化するにはどのような方法があるでしょうか?

    手打ち刻印の代替えとして一番に上げられるものが、”インパクト式刻印機 ”です。
    手打ち感覚で、ワークにあてがい、引き金を引くだけで誰でも簡単にきれいに刻印可能です。
    手打ち刻印のスピードと比較すると1文字刻印するのに10倍以上のスピードで刻印が可能です。

    インパクト式刻印機は早くてきれいに刻印できるだけではなく、安全性に優れているところが特徴です。
    ハンマーを使用しませんので、指を打ったりすることにありませし、手打ち刻印が摩耗してきて、
    バリの部分が飛び散り目に入る!!などの危険性から解放されます。
    手打ち刻印の高速化・安全化を検討してみたらいかがでしょう。

    手打ちからインパクトへ切り替えてみては?

    (2) 機械打ち刻印の高速化

    従来の刻印は、ナンバーリングヘッドと言われる金属用の刻印ヘッドを使用しています。
    No.リングヘッドは、刻印機本体の能力で刻印スピードは決まってしまいます。
    スピードの速い、衝撃タイプ(インパクト式)のプレスを使用しますと、細かい部品の組み合わさっているNo.リングだと
    バラバラになってしまい壊れてしまいます。

    そこで、高速マーキングではNo.1のレーザマーカと比較してみましょう。
    レーザでは、1秒間に最大4000mm(通常の使用では2000mm/S程度で十分です。)の直線をマーキングする事が
    可能です。
    刻印では、プレス機の動作(ストロークによる)では最短3秒程度は必要ですが、レーザだと一瞬でマーキングする事が
    可能です。

    しかし、レーザにできない事が刻印にはあります。深さが必要なマーキングの場合、レーザは不向きです。
    レーザで刻印深さを得ようとすると、何度も繰り返し文字上をなぞる必要が出てきます。
    ワーク材質にもよりますが、出力を上げ10回繰り返したとしても刻印深さは0.08mmしか刻印出来なかった??
    という事が多々あります。
    用途に合わせて装置は選択する必要がありますね。

    貴社にぴったりの高速マーキング方法は?

    (3) カートン(ボックス容器)やはがき・封筒等の高速化

    従来、カートンやはがき・封筒等は、事務用のスタンプインクを使用したスタンパーで行っていましたが、
    その手作業を自動化し、尚且つ高速化した機械があります。
    ”転写式押印機”がその機械です。

    カートンやはがき等、1分間に260枚の印字(エンボスタイプとインクタイプの2タイプあり)が可能です。
    郵政省で採用されている信頼のおける分離機構を採用しています。※郵政省仕様では1分間に400枚処理可能です。
    紙製品のみでなく、ラベル・ポリエチレン袋・クラフト紙・伝票・書状・手形類等多数の印字に対応が可能です。
    特に食品ラベルの賞味期限の印字には大変多く利用されだしてきました。
    高速印字を可能にした、分離機構に感謝したいです。

    分離機構

    (4) インラインでの高速化

    製造ラインでは様々な刻印機器が使用されています。
    従来からの”刻印”から最先端の”レーザマーカ”まで様々です。

    No.リングヘッドでは、医療関係では、血液搬送用のチューブに1mごとに製造No.を印字したりしています。
    チューブの巻き取り速度に合わせ、1秒間に8回の刻印をしています。
    刻印のかすれや未刻印を防止するように、刻印ステーションの後には、画像認識装置があります。
    このチューブはなぜ刻印でないといけないのでしょうか?
    箔と呼ばれるリボンテープで色付けをしていますが、万が一色が取れてしまってもNo.が認識できなければいけないそうです。
    その為に”刻印”なのですね。

    刻印高速自動化例


    また、色付けのみでしたら、超高速印字が可能な”インクジェットプリンタ”があります。
    ”インクジェットプリンタ”とは、家庭や事務所内で使われているプリンタと同じものになります。
    産業用の”インクジェットプリンタ”は、インクの粒を帯電させて文字を形成していくプリンタです。
    世間一般的には、缶ビールやペットボトルの黒い文字で製造年月等印字されていると思いますが、こちらが、”インクジェットプリンタ”の印字です。

    食品関係の製造ラインでは、高速ですので、ワークの流れを止めずにマーキングできるというメリットがあります。
    デメリットとしては、耐摩耗性に弱く、印字面を指でこすっていると文字が消えてしまいます。

    インクジェット自動化例

    ”レーザマーカ”ですが、超高速印字が可能ですが、印字中は一度、ラインを停止させる必要があります。
    ほんの数秒以下とはいえラインを停止させることが必要です。
    プリント基板や電子部品関係はかなり、”レーザマーカ”を使用した自動機が納入されています。
    ”レーザマーカ”では、深堀りができません。
    サイクルタイムをレーザと同等で深堀が可能なマーキング機器はないのでしょうか?

    レーザマーカ


    深堀可能なインライン機はあります。
    ”エアースタイラスマーカ”の罫書きタイプがそれです。

    罫書きとは?あまり聞きなれない言葉ですが、超鋼のペンをワークに押し付け、ひっかいて文字を書いていきます。
    通常のエアースタイラスマーカでは、ペンを振幅させて、魚の鱗のような形状で文字を形成していきますが、罫書きでは、一筆書きでうろこのような跡はできません。
    書きはじめと書き終わりに、ワーク材質によりますが、点が目立つものもあります。
    今までの経験ですと、ワークの割れ・塩水噴霧による錆テストの結果も通常の刻印と同等の結果が出ています。

    エアーペン自動化例


    高速マーキングと言っても、対象ワーク・ライン構成・イニシャルコスト・ランニングコスト等により
    さまざまなマーキング装置が考えられます。
    インラインのマーキングは、専門メーカに相談するのが一番早く解決するでしょう。